欧州では、ロシアのウクライナ侵攻により、天然ガスのエネルギー問題が浮き彫りになった。果たして日本ではどうだろうか?
日本は悲しいかな、燃料資源に乏しく、エネルギー自給率が非常に低いのが現状である。
これははっきり言ってどうしようもない事であり、一朝一夕に解決出来るものではないが、何か方法はあるだろうか?
1.日本のエネルギー自給率
1-1 日本のエネルギー自給率の国際比較
主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)
経済産業省(資源エネルギー庁)
出典:IEA「World Energy Balances 2020」の2019年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2019年度確報値。※表内の順位はOECD36カ国中の順位
安定供給 | 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」 |広報パンフレット|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
最終更新日時:2019年
アクセス日時:2022年6月2日 22:40(日本時間)
日本のエネルギー自給率は、たったの12.1%で、OECD加盟国36ヶ国の内、35位(2019年度)。
12.1%の内、原子力と再エネで半分ずつといった所か。惨いと言わざる負えない状況だが、実は1960年にはエネルギー自給率が約60%あった。
1-2 日本のエネルギー自給率の推移
【第211-4-1】一次エネルギー国内供給構成及び自給率の推移
出典:1989年度以前はIEA「World Energy Balances 2020 Edition」、1990年度以降は経済産業省「総合エネルギー統計」を基に作成
経済産業省(資源エネルギー庁)
第2部 第1章 第1節 エネルギー需給の概要 │ 令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021) HTML版 │ 資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
最終更新日時:2019年
アクセス日時:2022年6月2日 22:40(日本時間)
エネルギー自給率が、1960年には、58.1%なのに、1970年には15.3%まで落ち込んでいる。
この原因は、1955年から1973年にかけての高度経済成長期に置いて、エネルギー消費量が数倍になっているからである。
この分を石油で補ってきたが、1973年の第一次オイルショック、1979年の第二次オイルショックを契機に再生可能エネルギーを徐々に増やしてきている。
2.問題点
2-1 輸入に頼るエネルギー
日本の化石燃料輸入先(2020年)
出典:財務省貿易統計(海外依存度は総合エネルギー統計より)
経済産業省(資源エネルギー庁)
安定供給 | 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」 |広報パンフレット|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
最終更新日時:2020年
アクセス日時:2022年6月3日 19:40(日本時間)
石油は完全に中東依存、LNGと石炭はオーストラリアとアジア各国、ロシアも輸入国ではあるが、割合は少ない。
2-2 原発再稼働は?
東日本大震災での津波の影響による、福島第一原子力発電所事故により、原子力発電所の安全性に疑義が呈され、国民感情や地元不安もあって定期検査後の運転再開ができず、2012年5月には全ての原発が停止した。
それ以後政権交代もあり、原発も少しずつ稼働させてきているが、震災前の約3分の1程度である。
震災前の2010年だと化石燃料依存割合が60%だったのが、2013年~90%になっている状況。
2022年5月16日現在、日本では60基の原子力発電所が確認出来る。
再稼働中10基、設置変更許可7基、審査中10基、未申請9基、廃炉24基である。
【原子力発電所】
SDGs等、脱炭素の観点からすれば、原発動かした方が早い気がするが・・・
3.再生可能エネルギー
再生可能エネルギーには実に様々なものが存在する。
発電以外に、熱として利用するものを含めると数十種類はあろうか。発電に絞って見てみると、
- 太陽光発電(光→電力)
- 風力発電(動力→電力)
- 地熱発電(熱→電力)
- 水力発電(重力→運動→電力)
この辺りは御存知の方も多いであろう。が、こんなものではなかった。
- 太陽熱発電(光→熱→電力?)
- 海洋温度差発電(熱→電力)
- 小水力発電(重力→運動→電力)
- 海流発電(動力→電力)
- 波力発電(動力→電力)
- 潮力発電(重力→動力→電力)
- バイオマス発電(バイオマス→燃焼→発電?)
- etc…
再エネルギーというのは、様々な自然の宝庫、アイディアの宝庫であり、これからもまだまだ新しい可能性は秘めている。
しかし人間の手で自然を完全に制御するのは難しい。屋根の上にばかり太陽光パネルを設置するのは勘弁してほしい。
【風力発電】
4.備蓄エネルギー
日本の石油備蓄量は、約200日分、LPガスは約80日分、LNGは備蓄は無し。
無いよりはましであるが、恐らく工場や大規模ビル、インフラに使用するのであろう。一般家庭に回ってくるとは思えない。
5.解決策は?
再生可能エネルギーは確かに環境には易しいかもしれない。
しかし、あまりに天候に左右されやすく、大規模なエネルギーを生み出すものではない為、安定したエネルギー供給できるかは甚だ疑問。
所詮はバックアップやサブ的な扱いを超える事は無いような気がする。
原子力、火力(石油、石炭、天然ガス)、再エネ等、利用するエネルギーを様々な形で分散させるのが至上と思われる。
そうすれば、技術力も維持出来るし、どこかの国に過度に依存する必要もなくなる。
再エネは風力発電と太陽光発電ばかりがどんどん増えていく傾向があり、これは中国や欧米等海外資本の過度な流入を招き、結果的に依存する事になる。
また、日本で素晴らしい技術を開発しても潰されたり盗まれたりする可能性があり危険。
出来ることなら、日本の風土や気候を利用した優れた再エネが生まれる事を期待したい。
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