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【座敷牢と私宅監置】ー恥の文化やひきこもりにも繋がる、近代日本の負の歴史

座敷牢(ざしきろう)とは、日本の江戸時代から明治にかけて存在した、家の中に設けられた簡易な牢屋の事である。

主として、精神障害や問題行動を起こす家族を一時的に隔離する為の施設として使われた。

「私宅監置(したくかんち)」とは、主に明治から昭和初期の日本で行われていた、精神病患者を家族が自宅で監禁・隔離する制度の事を指す。

どちらも、現代の価値観からすると、とても考えられない制度、慣習であるが、普通に行われていた。

現代でも、人前に出したくない、出られない人間を半ば家の中で隔離状態にしたり、自らの事も自分自身で隔離状態にしてしまう、引きこもりのような事が起きてしまうのも、過去の負の遺産そして、「恥の文化」がなせる業と思うのは考えすぎであろうか?

恐らくあまり話題になる事も少ないであろう、「座敷牢」と「私宅監置」について取り上げてみたい。

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1.座敷牢の特徴

1-1.歴史

江戸時代頃から始まり、明治時代まで続いた。隔離する為の設備として、主に中流階級以上の家、屋敷に存在していた

明治以降は、届け出を出して、私宅監置の流れになる。

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1-2.構造

座敷牢は通常、家の一角や、離れ、土蔵、一部屋を改造して作られている。

木製の格子や扉で囲まれており、外部から鍵施錠出来る構造であり、収容された人間が外に出れないようにした。

トイレ等の設備は室内に設置される場合もあれば、壺や、瓶で代用される事もあった。

1-3.社会的背景

座敷牢の存在していた当時、精神障害は、狐憑きや祟りが原因と思われており、加持祈祷やお祓い等といった手法に頼らざるを得なかった。

勿論、当時の日本では、精神病院や適切なケア施設が存在していなかった為、家族が自主的に座敷牢を設けて家に閉じ込める事が多かった。

日本の社会や家族の在り方、精神医療の未発達さを反映しているのは間違いない。


1-4.どのような人間が、座敷牢に閉じ込められていたのか

心神喪失者、精神薄弱者、現代でいう所の引きこもり、外出させると家の恥になる人間等々・・様々であった。

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1-5.座敷牢の影響と評価

現在では、座敷牢は人権の観点から問題視されるのは当たり前ではある。

家族の中での拘束や隔離は精神的、肉体的な苦痛を伴うものであり、現代の精神医療や福祉の観点からは適切な方法とはとても言えない。

だが、座敷牢は家庭内の問題を外部に知られずに解決する手段として機能していた。地位や名誉のある人間の家族程閉じ込められれる可能性があったのかもしれない。家屋敷のスペースに空きが無い貧乏人だとどうしようもない。

仕方がないとか、昔はそういう時代だった、で片づけるのは簡単だが、日本特有の「恥の文化」や、ひきこもりなどの問題にも密接に絡んでくるのは間違いない。

単純に精神医療が未発達だっただけで、座敷牢という慣習が出来た訳では無いはずである。

現代日本でも、精神病患者を薬漬けにして、入院という名の監禁状態にしている、なんていうニュースをたまに見る。

もちろん、働いている医療関係者からすると、時に命や大怪我、事故の原因になるほどの問題のある患者が存在するのも事実だろう。要するに、昔に比べて多少ましにはなったが、まだまだ問題山積みの状態である、という事だろう。

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2.私宅監置の背景

「私宅監置」とは、「私人が行政庁の許可を得て、私宅に一室を設け、精神病者を監禁する」制度の事である。

2-1. 歴史的背景

1900年に施行された精神病者監護法によって、「座敷牢を監護義務者(主に家族)は届け出たうえで警察や保健所が監督し私宅監置とする」流れとなった。

ただ単に座敷牢を合法化しただけと言える。

近代国家における医療制度としては、諸外国にも類をみない極めて異質な制度であるらしい。

構造は座敷牢とほぼ同じ、監禁(軟禁)される人間も基本的に同じである。

警察や、保健所など、行政が絡む事にはなったが、患者の行動や状態は家族が直接管理することが多く、外部の医療機関や福祉サービスの関与は限定的であった。

2-2. 恥の文化、そしてひきこもり

日本には昔から、世間様に恥になるような人間は外に出さない、という考え方がある。本人も恥じて外に出てこない。

「社会不適合者は身内で何とかするもの」という、慣習というか因習が存在するのは間違いない。

家族は、精神的、経済的に疲弊し、最後はあまり碌な事にはならない。

現代日本が比較的諸外国に比べて、平和的で、一般的に普通の国民で、犯罪も少ないのは、ただ単に社会からはみ出した人間が、ある一定の場所に隔離されているだけであるといえるのではないか。

omer yousiefによるPixabayからの画像

3.まとめ

私宅監置は、戦後の日本で精神医療や福祉制度の整備が進む中で廃止され、現代に繋がる。

精神障害や、生きづらさを抱えている人に、適切な医療ケアや、家族への支援体制、適切な社会復帰やリハビリの機会を設ける事が大切なのは、誰でも理解出来る事だ。

だが、大きな成果をあげているとは思えず、またそれだけでは中々どうにもならないのが、今の日本の現状なのだろう。

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